トリメチルシリルアセチレンの爆発

Chemical Safety: Trimethylsilylacetylene Explosion | Chemical & Engineering News

要約
トリメチルシリルアセチレン(TMSA)のGlaser-Hay反応でTMSA二量体を合成中(>100gスケール)に爆発が発生し実験者が重症。これ以前に本反応での爆発は報告されていなかった。

Org. Syntheses 1993, Coll. Vol. 8, 63に従い、酸素雰囲気下でCuCl:TMEDA錯体触媒のアセトン溶液をTMASのアセトン容器に滴下したところ、滴下を開始した直後に爆発が発生した。触媒を滴下しても反応温度の急上昇は見られなかったため、熱暴走が原因とは考えにくい。また数滴滴下しただけで爆発したので、爆発性の銅アセチリドが沈殿したとも考えにくい。

著者は、原因を静電気のスパークであると考えている。反応容器に挿したシリンジのニードルとデジタル温度計の熱電対との接触によって、溜まっていた静電気が放電してスパークが発生した(冬にドアノブを触ると放電が起こるのと同じ)。そして酸素で満たされた系内でTMSAに引火して一気に爆発したと考察している。